なぜR大学情報理工学部の新入生にMacintoshを薦めたのか

以前,2011年の新入生に向けて
R大学情報理工学部に入学される方に,1つだけ言いたいこと - teenstの日記
という記事を書いた.

この記事,当時はあまり言及されていなかったのだけれど,新年度にはアクセスが増えているようなので,
新たに書きなおそうと思う.


Yahoo!知恵袋に,上記の記事を見て質問した人がいるようで,それに関する回答が興味深かった.

これは学校に問い合わせたりしなければわからないことですが、入学前にPCを購入するのはおすすめしません。
この時期は皆さんPCを買いたがるのですが、実際に入学してみないとそれからのPC環境というのはわからないことも多いのです。

立命館大学情報理工学部に入学して新たにノートPCを買います。 自分は長年windows... - Yahoo!知恵袋


確かにベストアンサーのいうことはもっともらしく見えるが,所詮は一般論でしかない.
「大学・学部の現状」と「想定読者である新入生の状況」を踏まえていない回答だと僕は思う.



確かに僕の上記の記事も小手先のツールの説明ばかりしていて,わかりにくかったと思う.
ただ,想定していた対象の読者が,プログラムすら書いたことのない情報系の新入生,つまり入学当時の僕を想定していたのだ.
そんな人にLinux最高ですなんて言っても,敷居が高いため,より使いやすくわかりやすいUnixが使えるMacをおすすめした.

入学当時の僕はオリターと呼ばれる先輩に,何を買ったらいいですかねと聞き,「なんでもいいのでは」と言われ,
家電量販店に行き15インチのディスプレイに3kgの重さのWindows VistaというOSが乗ったVAIOを購入した.
実はそれはなんでも良くなくて,僕は1年間ほど不自由を強いられることになり,
その後Linuxをインストールすることになった.

確かに講義でWindowsのソフトを利用することはあるのだけれど,そこはあまり重視すべきではない.
経済学部,経営学部のためのWindowsが馬鹿みたいに大学にはあるはずだし,
それらを利用したほうが捗ると思う.
我々はソフトウェアの使い方を学びに行くのではない.
具体例を出して言えば,我々はPowerPointの使い方を学ぶのではなく,良いプレゼンテーションを行なう技術を学ぶために大学に行くのだ.

先輩がどのようなPCを使っているのか、授業などでどのようなソフトが必要なのか。
こういうことがある程度わかってから購入したほうが良いこともあります。
学校によっては学割があったりする場合もあります。

あまりインターネットの情報は信じず、自分の目で確かめたほうが良いです。

立命館大学情報理工学部に入学して新たにノートPCを買います。 自分は長年windows... - Yahoo!知恵袋

残念なことではあるが,そもそも学部の先輩は信用出来ない人が多い.
「良い情報理工学部の」先輩の見分け方は「ポインタわかります?」と質問することだと思う.
これでわからないなんていう人は「情報理工学部」の先輩としては,友人の噂話の情報源以上の価値はないので,
連絡先を聞くだけ聞いて他を当たるべきだ.
君がコンピュータの話を聞くべきは「その辺にいる」情報理工学部の先輩ではなく,
「事情もわかって」「デキる」情報理工学部の先輩である.


Linuxのインストールは,Windowsのオールインワンの環境に慣れた人にとっては面倒だと思う.
わからずにインストールして得るものはほとんどないのではとも思う.
それならば簡単に手に入るUnixの端末がよい.
Linuxを使うのはそれ以降でもぜんぜん構わない.
どうせまっとうに情報理工学部にいれば,いつか使うことになるはずだ.

繰り返しになるが,
大学は計算機,Unixという考え方を学ぶことだと僕は考えている.
大学は,ツールではなく思想を学ぶ所だと最近考えている.
そして道具はそのための補助であるべきだと考えている.


僕が入学したときはiPhoneは日本では発売されていなかったし,Androidなんて物好きくらいしか持ってなかった.あぁ彼はそういえばiPod touchをスケジューラにしていたっけ.
手頃なクラウドのホスティングサービスもVPSもなかったし,レンタルサーバを借りて「ホームページ」やブログを立ち上げるのが主流であった.
ツールはどんどん変わっていくけれど,変わらないものを僕たちはツールを使うことで学んでいくのだと思う.


僕は働いてないから,もしかしたら現場ではWindows Serverを使うかもしれない.
でも普通のWindowsにはApacheなんて入ってない.
その時点でもう学べない.


買うことがゴールじゃなくて,使いこなすこと,そしてそこから学ぶことが目的だと僕は考えている.