圧迫面接

先輩方に就職活動での相談をしていたときのこと,
ホテル業界の圧迫面接の話になった.
噂レベルの話と前置きをされていたので,嘘かもしれないが話として面白かったので書く.

1次面接,2次面接と順調に来た採用希望者が,最終面接で面接官から人格を否定されるほどの高圧的な面接を受けたそうだ.
その後,合格した内定者に対してのみ「あの時はあのように振る舞ったが,実際は適性を見るための面接であった」というアナウンスがあったとのこと.高圧的な態度を取ることによって,その受け答えのやり方で判断をしたということらしい.
それではどのような人が「正解」とされていたのか.
それは,いくら人格を否定されても「貴社に入社したい」と言えた人だったそうだ.


なるほど,いかにもホテル業界にありそうな話だなと思って聞いたのだが,
もちろん僕の判断はこれは2点の意味であり得ないやり方だと思う.
1点目は,希望者の後ろ盾が何なのかということ.
ホテルに入社した後に人格を客から否定された場合は,後ろ盾でもある所属を守るために行動する必要があるのに対して,入社前の志望者は後ろ盾が無い状態であるということ.
相手の立ち位置もまた違い,「お客様におもてなしをする」というお客様目線の目標があるのに対して,「入社をする」という自分目線の目標が面接時にはあるのではないかと思う.決して面接官を喜ばせる目標はない.
振る舞いとしては「理不尽な扱い」かもしれないが,それに立ち向かうためのモチベーションがかなり異なるということがあるため一概にそれが同等のものだとは僕には思えないのだ.まぁそれが同等のものだと思える人がほしいのかもしれないが.


2点目は,将来の同僚や客になるであろう志望者を馬鹿にしているという態度であるということ.
いくら適性を見るからとはいえ,人格を否定してまで行うことではないと思う.もっと他のやり方があるはずだ.一緒に働いて気持ちがいいとは思えない上に,面接官の考えとは関係なくこの手法をやってくれというふうにマニュアルがあった場合,これは面接官に対してもパワーハラスメントの一種になるのではないかなと思う.
これで落とされた人間は客としてそのホテルを利用する可能性があるのだけれど,
そんな風に扱われたところを利用したいと思うのだろうか.
上質ではない客におもてなしを提供するために,上品な客として利用する可能性のあった人たちに理不尽な対応をするのは本末転倒だとも思える.
僕の業界であれば,将来転職する可能性もあるにも関わらず,そのような対応をするのは会社の価値を下げているとしか思えない.

飲食やホテル業界というのはこういう話題と親和性が高いというのもあるので,全く信じているわけではない.ただ,僕自身はこのようなことにはきちんとNoと言わなければならないような業界にいると感じている.

僕自身このような圧迫面接は流石に受けたことがないが,
体験として志望者に結果的に理不尽な目に遭わせる企業はあるなぁというのが,ここ最近の感想である.
それが面接というあからさまな場ででることは無いにしても,
選考手順などでそのような雰囲気が出ている企業はあると感じている.


大人になるということはなかなか厳しいなと感じている最近である.

大人になれば

大人になれば